若手社員の冒険

高良(たから)陽一郎
電子機器事業部NPグループ

2011年入社

岡村 優
建産機事業部 営業第3グループ 開発チーム

2007年入社

年間6兆円の巨大市場が今、動く!
まったく新しいジャンルへと斬り込んだ若手2人の挑戦

さくっと紹介

  • □ 人口減少社会の救世主として建設現場や建設機械のICT化がマスト!
  • □ 「油圧ホースの郷商事」にはピンチ or チャンス!?
  • □ 事業部を越えた若手チームが立ち上がる
  • □ 世界第2位企業へゼロから斬り込み、さらに視線は世界へ

「情報化施工の標準化」という衝撃

2015年度末に国土交通省が発表したリリースを、メディアは驚きをもって報道した。「平成28年度からi-Constructionで建設現場が変わります!」とうたったその発表では、2016年度から同省がドローンやICT建機を使ったICT土工を全面的に実施していくこと、そのための新基準を大幅に導入すること、さらに、規模の大きい工事では情報化施工の標準化すること――などが示されていたのだ。

ICT(Information and Communication Technology)とは情報通信技術のこと。建設業界でも以前から取り組みが進んでいて、i-Construction政策はそれらの集大成にあたる。メディアが注目したのは、それらを「標準化」することが具体的期限をもって示されたことだろう。「国交省が本気になった!」といわれるのもその点にある。


「国交省が急ぐ背景にあるのは、日本の労働人口の減少ですよね」。業界事情を冷静に語るのは建産機事業部で営業を担当する岡村だ。労働人口の減少は日本経済全体の課題でもあるが、実は日本の工事現場には過去数十年で生産性がほとんど伸びていないジャンルがあるという。例えば山岳エリアでのトンネル掘削工事を見ると、東海道新幹線の時代と近年の新幹線敷設工事では生産性が約10倍と大きく伸びている。ところが土工やコンクリート工といったジャンルでは生産性がほとんど変わっていない。このままでは日本の建設工事は労働人口の減少に対処できない――ゆえにICT化は喫緊の課題なのだという。

ピンチをチャンスに変えた出会い

土木工事のICTとはそのまま建設機械のICT化に直結する。「今までは熟練の職人さんが神業のように操作していたパワーショベルだって、今後は半自動化されて、少人数の新人の技術者でも同じクオリティで掘削ができるようにしないといけない。そんな“未来の建設機械”の時代がすぐそこまで来ているわけです。もちろん、既に骨子は決まってきていて、メーカー各社でも開発は進んでいます。あとはコスト面などで普及レベルのモデルをどう打ち出していくのか、各社手探りの状態で進んでいる段階です」(同)。

国内の建設機械メーカーとは、ほぼ全社と取り引きがある郷商事。創業以来、主に油圧部品を中心に大きなシェアを占めている事業でもあるが、逆に「郷商事=ホース」のイメージが定着している分野でもある。どれほど建設機械のスペシャリストでも、それはあくまでも従来型。建設機械や農業機械の電子化が進めば、制御系を中心に油圧ホースの需要は激減する可能性が高い――。岡村たちには、国土交通省の発表よりはるか以前からそうした危機感があった。

「もともと事業部は違うけれど仕事終わりに飲んだりする仲でしたね。ちょうど、2014年度に会社から事業部を越えた協業方針が打ち出されたこともあり、それなら建産機のICT化に向けて何ができるかやってみようと盛り上がったんです」。そう語るのは電子機器事業部の高良。モバイルプリンタのOEM事業を手がけている高良は、前職も電子機器メーカーの営業という電子機器開発のスペシャリストだ。

建産機事業部と電子機器事業部、2つの事業部のノウハウと知識、人脈を結集したら不可能な何かを作り出せるかもしれない、いや、作り出してみせる――。2015年夏、2人を中心にした新プロジェクトが立ち上がった瞬間だった。

斬り込んだのは世界第2位の巨大企業

展示会で使用した資料

2人がまず当たったのは、ICT化に向けて「郷商事ができること」の調査だったという。そこからは創業60年の歴史に裏付けられた顧客からの信頼、建機業界で世界的企業の「Tier1(ティア・ワン、第一次下請け)」という立場にいる優位性、強固なネットワークや豊富な情報量など、郷商事ならではの強みが浮かび上がってくる。

「建設機械のことは岡村が熟知しているし、電子機器やシステムのことは自分が詳しい。それぞれに徹底した情報収集を行なってICT化戦略を分析していくと、企業ごとに十分なところと足りないところが見えてきました。では、それに対してウチに何ができるんだろう?が次のテーマになりました」(高良)。


パートナー企業や展示会に足を運び、これまでの人脈をベースにゼロから「郷商事だからできる」システムやサービスをつくっていく。ほぼ半年という驚異のスピードでまとめあげた最初の「成果」は、建設機械で世界第2位のシェアを誇る建設機械メーカーで行なった自社の展示会だった。

「実は、社内プレゼンで一度ボツになったりもしまして(笑)。超特急でブラッシュアップして通した企画でした。建産機と電子機器2つの事業部が初めて共催した展示会で、実験的な取り組みではあったのですが、お客様には引き合いをいただいて。その後、かなりいいところまで交渉が進みました。残念ながらそのシステムは受注にはいたりませんでしたが、非常に勉強になったし、よい経験になりました」(岡村)。

「例えば電子機器といっても、建設機械に載せるとなると話は別。温度や振動、防塵対策など、通常とはまったく異なるハードな環境を想定しないといけません。これまでのパートナー企業でできないこともあるわけで、そういう場合は新たなパートナーの発掘なども課題となります。もちろん、この分野では弊社に先んじているライバル企業も数多い。われわれとしては現在、世界中にパートナー企業を探している段階ともいえます」(高良)。

楽しくなければ仕事ではない!

仕事終わりにはよく飲み、世界中どこへでも、果敢に調査や交渉に出かけていくという岡村と高良。現在も先の世界第2位企業を含めて国内の建設機械メーカー数社に新たなICT化システムの積極的な提案を行なっている。一方で、2016年12月にはスライドで展開した農業機械分野で初のシステム受注に成功。「あのときはハイタッチして乾杯しました」(高良)という経験も。


それぞれの事業部での従来からの「本業」を抱えながらの新規プロジェクト。「大変ではないのか?」「なぜそこまでやるのか?」と聞くと「楽しいから!」と即答で返ってきた。

「このプロジェクトは、上司から強制的にやらされているわけではないんです。なのに、なぜやるか?それは楽しいからかな。」(高良)。

「そう。もはや仕事以上に楽しいことなんかないくらいに楽しい…というのは冗談としても(笑)、確実にやりたくてやってるよね、そこ、大事!」(岡村)。

建設機械のICT化は世界中のメーカーの課題でもある。今後は海外メーカーにもどんどん積極的に提案を仕掛けていきたいと、彼らの目は既に世界へと向いている。

「チャンスはどこにでも、いくらでもあるのだと思います。一緒にチャレンジしてくれる人、何にでも興味と疑問を持つ人、そんな人に加わってほしい。ぜひ、弊社のドアをたたいてほしいですね」(高良)。